体操の技一覧|男子6種目の代表的な技を名前と難度で解説
体操の技一覧を男子6種目(ゆか・あん馬・つり輪・跳馬・平行棒・鉄棒)ごとに整理し、トカチェフやユルチェンコなど代表的な技の名前・由来・難度の考え方をわかりやすく解説します。難度の仕組みや技名の決まり方、Dスコア計算アプリの活用法までまとめました。
体操の技一覧を種目別に知りたい——本記事では、男子体操競技6種目(ゆか・あん馬・つり輪・跳馬・平行棒・鉄棒)の代表的な技を、名前・由来・難度の考え方とともに一覧で整理します。トカチェフやユルチェンコのように選手名がついた技(エポニム)は数百に及び、種目ごとに独特の系統があります。まずは全体像を押さえ、そのうえで種目別の詳しい解説記事へと読み進められる「入口」として活用してください。
体操の技一覧を読む前に|難度(A〜I)とエポニムのしくみ

個々の技を見る前に、体操の技を理解するうえで欠かせない2つの前提——「難度の表し方」と「技名の決まり方」——を押さえておきましょう。ここを知っておくと、技一覧が一気に読みやすくなります。
技の難度はアルファベット(A〜I)で表す
男子体操競技の技は、国際体操連盟(FIG)が定める採点規則(Code of Points)によって、やさしい順に A・B・C・D… とアルファベットで格付けされています。2025–2028年版の採点規則では、各文字が次の価値点(難度点)に対応します。
難度 | 価値点 | おおよそのレベル感 |
|---|---|---|
A | 0.1 | 基礎的な技 |
B | 0.2 | やや発展した技 |
C | 0.3 | 中級 |
D | 0.4 | 上級の入口 |
E | 0.5 | 上級 |
F | 0.6 | 高難度 |
G | 0.7 | 最高難度クラス |
H | 0.8 | 超高難度 |
I | 0.9 | ごく一部の技のみ |
演技のDスコア(演技価値点)は、こうした技の難度点に、グループ要求(種目ごとに求められる技のカテゴリ)や連続技のボーナス、終末技加点などを足し合わせて決まります。仕組みの全体像は採点規則(Code of Points)の基礎|DスコアとEスコアの仕組みで詳しく解説しています。
なお、自分やお気に入りの選手の演技構成が何点になるのかを手軽に確かめたい場合は、Gymnastics AI — Dスコア計算アプリが便利です。FIG 2025–2028採点規則に準拠し、790以上の技データベースを搭載しています。技を選んで並べるだけで難度点やグループ加点を自動計算できるため、本記事の技一覧と合わせて使うと理解が早まります。
技名は「最初に成功させた選手」に由来する(エポニム)
体操の技には、トカチェフ・ユルチェンコ・コバチのように選手名がついたものが数多くあります。これはエポニム(eponym=人名由来の名称)と呼ばれ、その技を国際大会で初めて成功させた選手の名前が採点規則に記載される仕組みです。命名されるには、事前に技の映像をFIGへ提出し、一定以上の難度(原則C以上)と認められ、国際大会で大きな失敗なく実施する必要があります(Gymnastics Nowによる2025年の新技命名の解説)。
実際、2025年にも複数の新技が命名され、男子では平行棒の「ホール(Hall)」、あん馬の「ムーア(Moore)」、跳馬の「オルファティ(Olfati)」が加わりました。アメリカ選手にちなんだ技はUSA Gymnasticsの命名技リストにもまとまっています。技名を知ると、体操を観るときの解説がぐっと理解しやすくなります。
難度は改定で変わる|「一覧」は目安として使う
重要な注意点として、技の難度は採点規則の改定(原則4年ごと)で上下することがあります。かつて高難度だった技が普及して格下げされたり、危険性の高い技が価値を抑えられたりします。したがって本記事の技一覧は「どんな技があり、どの系統に属するか」を把握する目安として使い、正確な最新の難度点は採点規則やDスコア計算アプリで確認するのがおすすめです。以下、種目別に代表的な技を見ていきましょう。
ゆか(床運動)の代表的な技一覧

ゆか(床運動)は、アクロバット(宙返り・ひねり)を中心に構成される種目です。技の系統は大きく「前方系」「後方系」「ひねり系」に分かれ、着地の正確さと空中でのひねりの多さが得点を左右します。
ひねり系|白井(Shirai)に代表される高速ひねり
ひねりの回数はゆかの難度を大きく押し上げます。日本の白井健三選手は、後方伸身宙返り4回ひねりなど複数の技を初成功させ、ゆかと跳馬で計6つの技に名前が刻まれています。「シライ」はひねり技の代名詞的存在です。
- 後方伸身宙返り3回ひねり:ゆかの主要な高難度ひねり技
- 後方伸身宙返り4回ひねり(シライ):白井選手が世界で初めて成功
- 前方系ひねり技:踏み切りと空中姿勢の切り替えが難しい
宙返り系|前方・後方の多回転技
ひねりを伴わない多回転の宙返り(前方・後方の2回宙返り系)も、ゆかを構成する重要な要素です。連続技としてつなぐことで、より高いDスコアを狙えます。種目別に技の習得難易度を整理した体操競技のD難度技一覧|男子種目別の習得難易度マップも、練習の順序を考えるときに役立ちます。
あん馬の代表的な技一覧

あん馬は、両手だけで全身を支えながら脚を止めずに旋回し続ける種目です。「体操競技で最も難しい」と言われることも多く、技のミスがそのまま落下につながります。技は「旋回系」「移動技」「終末技」に大別されます。
旋回系|ロス・シュトックリ・ブスナリ・マジャール
あん馬の中心となるのが、脚をそろえて回し続ける「旋回」を発展させた技群です。開脚旋回や、馬上を移動しながら旋回する技には、次のような選手名がついています。
技名 | 系統 | 特徴 |
|---|---|---|
ロス | 旋回+ひねり | 旋回にひねりを加えた発展技 |
シュトックリ | 移動・転向 | 馬体上を回りながら向きを変える |
ブスナリ | 複合旋回 | 複数要素を組み合わせた高難度技 |
マジャール/シバド | 縦向き移動 | 馬の端から端へ手で移動する |
これらの旋回技の技術的なポイントは、あん馬で高得点を狙う旋回技術|ロス・シュトックリの基本と採点のポイントで詳しく解説しています。
移動技・フロップ・シアーズ
脚を前後に開いて交差させる「シアーズ(はさみ)」や、手の位置を素早く移し替える「フロップ」系は、あん馬の見せ場のひとつです。これらの高難度技の仕組みはあん馬のフロップとシアーズ|高難度技の仕組みにまとめています。2025年には、あん馬に新技「ムーア(Moore)」も加わりました。
つり輪(吊り輪)の代表的な技一覧
つり輪は、2本のロープに吊るされた輪を握り、静止した力技と振動技を組み合わせる種目です。ぶれる輪を静止させる筋力と体幹が求められ、技は「力技(静止技)」と「振動技」に大別されます。
力技(静止技)|十字懸垂・中水平・アザリアン
つり輪を象徴するのが、腕を横に開いて体を支える「十字懸垂」や、体を水平に保つ「中水平(水平支持)」などの力技です。静止2秒が求められ、姿勢が崩れると減点されます。
- 十字懸垂:両腕を真横に開いて静止する代表的な力技
- 中水平・上水平:体を水平・斜め上方に保持する
- アザリアン:力を使って十字系へ引き上げる高難度技
力技の採点基準は吊り輪で求められる力技|十字懸垂・水平支持の採点基準で詳述しています。実際にこうした技を組み込んだ構成が何点になるか試したい方には、Gymnastics AI(Dスコア計算アプリ)がおすすめです。技を選んで並べるだけで、難度点・グループ加点・連続技ボーナスを自動計算できます。
振動技|ヤマワキ・ホンマ
振動技は、輪を振って勢いをつけ、宙返りをして再び輪を握る技群です。日本選手にちなんだ「ヤマワキ」「ホンマ」など、振動から宙返りへつなぐ技が知られています。振動技と後方宙返り系の違いは吊り輪の振動技と後方宙返り系技|難度と採点の違いで整理しています。
跳馬の代表的な技一覧
跳馬は、助走から一回の跳躍で技を決める種目です。技は「跳馬への入り方(第1空中局面)」で系統が分かれるのが特徴で、入り方の名前がそのまま技の系統名になっています。
入り方で分類|ユルチェンコ・ツカハラ・ロペス
跳馬の系統は、踏み切り板への入り方で整理すると理解しやすくなります。代表的な入り方は次の通りです。
系統 | 入り方 | 由来 |
|---|---|---|
ユルチェンコ | ロンダートから後転とび | |
ツカハラ | 側転1/4ひねりから後方系 | |
前転とび系 | 前方への手支持跳躍 | ハンドスプリング系 |
ロペス/ドリッグス | 前方系ひねりの発展 | 選手名に由来 |
ユルチェンコ系とツカハラ系の技術と難度の違いは跳馬の種目別難度一覧|ユルチェンコ系とツカハラ系の技術と難度を比較で詳しく比較しています。名前のついた跳馬の全体像はFloGymnasticsの命名跳馬ガイドも参考になります。
高難度|リ・シャオペン・シューフェルト・白井
入り方に多数のひねりや宙返りを加えると、跳馬は一気に高難度化します。「リ・シャオペン」「シューフェルト」など選手名のついた高難度跳が代表例で、白井健三選手も跳馬で技に名前を刻んでいます。これらは跳馬の高難度技|リ・シャオペンとシューフェルト解説で扱っています。
平行棒の代表的な技一覧
平行棒は、2本のバーの上で支持・懸垂・宙返りを組み合わせる種目です。バーの上下を大きく使う振動技と、静止・ひねりを伴う支持技のバランスが求められます。
支持・ひねり系|ディアミドフ・ヒーリー・ティッペルト
倒立から体をひねって向きを変える技には、選手名がついたものが多くあります。代表的なのが「ディアミドフ」で、倒立から片手を離して1回ひねり、再び倒立で握る技です。ほかにも「ヒーリー」「ティッペルト」などが知られ、2025年には新技「ホール(Hall)」も加わりました。
宙返り系|モリスエ・ベーレ
バーを離して宙返りし、再び握る技群も平行棒の見せ場です。日本選手にちなんだ「モリスエ」や、後方かかえ込み系の「ベーレ」などが代表例です。こうした技をどう並べるとEスコア(実施点)を高められるかは平行棒の演技構成戦略|Eスコアを最大化するつなぎの考え方で解説しています。
鉄棒の代表的な技一覧
鉄棒は、車輪(バーを軸にした大きな回転)を基本に、手放し技や持ち替え技を組み合わせるダイナミックな種目です。空中に舞う手放し技は体操の花形で、選手名のついた技が特に多い種目でもあります。
手放し技|トカチェフ・コバチ・イエーガー・ゲイロード
鉄棒の代名詞ともいえるのが、バーを一度離して再び握る手放し技です。系統ごとに次のような技があります。
技名 | 系統 | 動きの概要 |
|---|---|---|
トカチェフ | 後ろ跳び越し | バーを越えて開脚・閉脚で背面へ |
コバチ | 後方宙返り跳び越し | バーを越えて後方宙返りし再握 |
イエーガー | 前方宙返り | 前方宙返りしてバーを握る |
ゲイロード | 前方系跳び越し | 前方宙返りでバーを越えて握る |
「トカチェフ」は1977年にアレクサンドル・トカチェフが初成功させた技で、今も最も人気の高い手放し技のひとつです。「ゲイロード」はアメリカ選手に由来し(USA Gymnasticsの命名技リスト)、より詳しい難度比較は鉄棒の離れ技|トカチェフ・コバチ・リバルコの難度と違いにまとめています。ほかの命名技は鉄棒の命名技リスト(gymnasticscoaching.com)も参考になります。
車輪・持ち替え系|エンドー・アドラー・マルケロフ
手放し技を安全に決めるには、その前後をつなぐ車輪や持ち替え(グリップの切り替え)が欠かせません。「エンドー(遠藤)」「アドラー」「マルケロフ」など、持ち替えや車輪の系統にも選手名がついています。これらの違いは鉄棒のエンドー・アドラー・マルケロフの違い|車輪系技解説で整理しています。
体操の技に関するよくある質問(FAQ)
体操の技はいくつある?
男子体操競技の採点規則には、6種目を合わせて数百の技が掲載されています。Dスコア計算アプリ「Gymnastics AI」には790以上の技がデータベース化されており、種目・グループ・難度で検索できます。技の総数を把握したいときの目安になります。
女子と男子で技は違う?
はい、種目そのものが異なります。男子は6種目(ゆか・あん馬・つり輪・跳馬・平行棒・鉄棒)、女子は4種目(跳馬・段違い平行棒・平均台・ゆか)で、採点規則も別に定められています。両者の違いは女子体操と男子体操の違い|競技規則と採点の比較で詳しく解説しています。
技の正確な難度はどこで確認できる?
最新の正確な難度点は、FIGの採点規則(Code of Points)が一次情報です。手軽に確認・計算したい場合はDスコア計算アプリを使うと、技を選ぶだけで現行規則に沿った価値点がわかります。
まとめ
体操の技一覧を種目別に整理すると、それぞれの種目に独自の系統と、名前のついた代表技があることが見えてきます。要点は次の通りです。
- 技の難度は A〜I のアルファベット(0.1〜0.9点)で表され、改定で変わることがある
- 選手名がついた技(エポニム)は、国際大会で初成功させた選手に由来する
- ゆか=ひねり・宙返り、あん馬=旋回、つり輪=力技と振動技、跳馬=入り方で分類、平行棒=支持と宙返り、鉄棒=手放し技が中心
- 正確な最新の難度は採点規則やDスコア計算アプリで確認するのが確実
気になる技が見つかったら、各種目の詳しい解説記事を読み進めてみてください。そして、実際の演技構成でDスコアがどう変わるかを試したい方は、Gymnastics AI — Dスコア計算アプリをぜひお試しください。技を選んで並べるだけで自動計算でき、iOS/Android対応で無料で使えます。