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女子体操の難度表の読み方|A〜J難度の点数と最高難度の技

女子体操の難度はA(0.10点)〜J(1.00点)の10段階。FIG女子採点規則2025-2028をもとに、難度表と要素番号の読み方、ゆか・平均台・段違い平行棒・跳馬の最高難度の技、Dスコアの計算方法、2025年世界選手権の最高Dスコアまでを解説します。

女子体操の難度表の読み方|A〜J難度の点数と最高難度の技

女子体操の難度は、A難度(0.10点)からJ難度(1.00点)までの10段階で決まっています。この記事では、FIG(国際体操連盟)の女子採点規則2025-2028年版をもとに、女子体操の難度表の読み方、種目ごとの最高難度の技、Dスコアの計算方法を整理します。世界体操2026に出場している日本女子代表のうち、名前が採点規則に載った技を持つ2人の選手も紹介します。

女子体操の難度とは|A〜J難度と価値点の基本

女子体操の難度とは|A〜J難度と価値点の基本

難度はA〜Jの10段階で、1段上がるごとに0.10点

女子体操の技には、それぞれ難度(Difficulty Value)が決められています。FIG女子採点規則(WAG Code of Points 2025-2028)の第7章では、価値点を次のように定めています。

難度

価値点

難度

価値点

A

0.10

F

0.60

B

0.20

G

0.70

C

0.30

H

0.80

D

0.40

I

0.90

E

0.50

J

1.00

規則では、難度表(Table of Elements)は「上限のない(open ended)もの」とされ、新しい技が国際大会で成功すれば追加されていきます。A〜Jという並びは「難度のランク」と呼ばれることもありますが、正式には価値点(DV)です。

Dスコアに入るのは「上位8技」(段違い平行棒・平均台・ゆか)

段違い平行棒・平均台・ゆかでは、演技の中で価値点が高い順に最大8技(終末技を含む)がDスコアに数えられます。9つ以上の技を行っても、9つ目以降は難度点に入りません。逆に技が少ないと、規則6.3の「短い演技」として最終得点から大きく引かれます。

  • 7技以上:減点なし
  • 5〜6技:4.00点の減点
  • 3〜4技:6.00点の減点
  • 1〜2技:8.00点の減点

同じ技は1回しか価値点をもらえません。段違い平行棒では、同じ系統(ルートスキル)の技は演技の順に3つまでしか数えられない、という制限もあります。

跳馬だけは「技の点数」がそのままDスコア

跳馬は例外で、跳ぶ技ごとに決まった点数(例:5.40点)がそのままDスコアになります。A〜Jの難度ではなく、跳馬の技の表(Table of Vaults)の数値を使います。女子跳馬の技と点数は女子跳馬の技一覧|ユルチェンコ・チェンの難度と採点ルールで詳しく解説しています。

なお、女子のゆかは技の難度だけでなく、音楽と振付を含めた芸術性も実施点(Eスコア)で評価されます。難度の高い技をどこに置くかは曲の盛り上がりと一緒に考えることになるため、ゆかの構成づくりや曲選びに迷う場合は、元体操選手のアーティストが手がける競技用フロア音源の制作に相談する方法もあります。

女子体操の難度表の読み方|要素番号で難度がわかる

女子体操の難度表の読み方|要素番号で難度がわかる

要素番号の「小数点の次の数字」が難度を表す

採点規則の難度表では、技ごとに「5.802」のような要素番号が付いています。この番号は次のように読めます。

  • 小数点の前(5):技のグループ(ゆかの5番は「後方宙返り」)
  • 小数点の後の最初の数字(8):難度(1=A、2=B……8=H、9=I、10=J)
  • 最後の2桁(02):表の中の行(同じ系統の技が横に並ぶ)

たとえばゆかの「5.802」は後方宙返りグループのH難度、「5.1002」はJ難度です。番号を見るだけで難度がわかるので、ニュースで要素番号が出てきたときも読み取れます。

表は「横に難度、縦に技の系統」で並ぶ

難度表は、横方向にA→B→C……と難度が並び、縦方向に同じ系統の技が並ぶ作りです。同じ行を右に進むと、ひねりや宙返りの回数が増えて難度が上がっていきます。ゆかの後方宙返りの行を例にすると、次のように進みます。

要素番号

難度

技の内容

5.101

A

後方宙返り(抱え込み・屈身・伸身)

5.301

C

後方伸身宙返り1回半または2回ひねり

5.401

D

後方伸身宙返り2回半ひねり

5.501

E

後方伸身宙返り3回ひねり

5.601

F

後方伸身宙返り3回半ひねり

ゆかの宙返りの種類全体は女子ゆかの技一覧|宙返り(タンブリング)の種類と難度にまとめています。

技の名前は「最初に国際大会で成功した選手」に由来する

「シリバス」「バイルス」のような技の名前は、その技を初めて主要な国際大会で成功させた選手の名前です。採点規則の巻末には、技名の由来になった選手と、初めて実施した大会の一覧が載っています。新しい技は、FIG女子技術委員会のニュースレターで発表されたあと、採点規則に追加されます。

FIG女子技術委員会のニュースレター第1号(2026年2月)では、2025年に新しく認められた女子の技6つが発表されました。そのうち2つは日本の選手の技です。

選手

種目

技の内容

難度(要素番号)

成功した大会

Yume Minamino(日本)

段違い平行棒

イェーガー屈身1回ひねり懸垂

F(3.608)

2025年世界ジュニア選手権

岡村真(日本)

段違い平行棒

大逆手から後ろ振り1/2ひねり、後方屈身2回宙返り下り

D(6.408)

2025年アンタルヤW杯

種目別の女子体操の最高難度|ゆかのJ難度から跳馬6.40まで

種目別の女子体操の最高難度|ゆかのJ難度から跳馬6.40まで

ゆか:J難度の「バイルス」が頂点

女子体操で最も難度が高い技は、ゆかにあります。採点規則2025-2028年版のゆかの難度表で、H以上の宙返りは次のとおりです。

難度

要素番号

技の内容

技名

J(1.00)

5.1002

後方抱え込み2回宙返り3回ひねり

バイルス

I(0.90)

5.903

後方伸身2回宙返り2回ひねり

ムーアズ

H(0.80)

5.802

後方抱え込み2回宙返り2回ひねり

シリバス

H(0.80)

5.803

後方伸身2回宙返り1回ひねり

チュソビチナ/トゥジコワ

H(0.80)

4.805

アラビアン伸身2回宙返り(前方系として扱う)

ドスサントス

2回宙返りにひねりを加えるほど難度が上がり、同じひねりの数なら抱え込みより伸身のほうが高く評価されます(シリバスがH、ムーアズがI)。

平均台:台上の技はGまで、降り技ではH

平均台では、台の上で行う技の最高はG難度です。後方伸身宙返り1回ひねり(シショワ)や、ロンダートからの上がり技の一部がGに当たります。終末技(降り技)では、後方抱え込み2回宙返り2回ひねり(バイルス、要素番号6.805)がH難度です。平均台の技の種類と採点の基準は体操の平均台のコツ|技の種類と見どころ・採点の基準で解説しています。

段違い平行棒:最高はG難度

段違い平行棒の難度表は、F/Gの列が最も右にあり、H以上の技はありません。G難度には次のような技が並びます。

  • 後方屈身浮き支持回転から伸身で高棒を越えて懸垂(ネムール)
  • 前振りから後方伸身2回宙返り2回ひねり下り(レイ)
  • 前振りから後方抱え込み3回宙返り下り(マガーニャ)

段違い平行棒は、難度だけでなく「技をつなぐ」ことでの加点が得点を左右する種目です。離れ技や連続の考え方は体操の段違い平行棒の技|種類と連結・採点の見どころを参考にしてください。

跳馬:最高は6.40点のユルチェンコ2回宙返り屈身

跳馬の技の表で最も点数が高いのは、ロンダートで踏み切る跳び方(ユルチェンコ)から後方屈身2回宙返りを行う技(バイルス)の6.40点です。

技の内容

技名

Dスコア

ユルチェンコ跳び、後方屈身2回宙返り

バイルス

6.40

前転跳び、前方抱え込み2回宙返り

プロドゥノワ

6.00

ロンダート1/2ひねり、前方伸身宙返り2回ひねり

バイルス

6.00

ロンダート1/2ひねり、前方伸身宙返り1回半ひねり

チェン

5.60

ユルチェンコ跳び、後方伸身宙返り2回半ひねり

アマナール

5.40

※点数はいずれもFIG女子採点規則2025-2028年版の跳馬の表によります。

女子体操のDスコアの計算|難度+構成要求+つなぎ加点

Dスコアは4つの合計

段違い平行棒・平均台・ゆかのDスコアは、次の4つを足した点数です。

  1. 難度点(DV):上位8技の価値点の合計
  2. 構成要求(CR):1つ0.50点×4項目=最大2.00点
  3. つなぎ加点(CV):決められた組み合わせで技を直接つなぐと0.10または0.20点
  4. ボーナス:D難度以上の降り技を転倒せずに行うと0.20点(ゆかは3本以上のアクロラインが必要)。平均台には3技以上の連続に付くシリーズボーナス0.10点もある

平均台とゆかでは、数える8技の中にダンス系を3つ以上、アクロ系を3つ以上入れる決まりがあります。ゆかのアクロライン(宙返りを含む2つ以上の技の連続)は最大4本です。

種目別の構成要求(CR)

種目

構成要求(各0.50点)

段違い平行棒

①高棒から低棒への飛行技 ②同じバーでの飛行技 ③異なる握り ④360°以上のひねりを伴う非飛行技

平均台

①異なる2つのダンス要素の接続(1つは180°開脚) ②ターン(またはロール等) ③宙返りを含む2つ以上の飛行アクロのシリーズ ④異なる方向(前・横と後ろ)のアクロ

ゆか

①異なる2つのリープ・ホップのダンスパッセージ(1つは180°開脚) ②縦軸360°以上のひねりを伴う宙返り ③2回宙返り ④後方宙返りと前方宙返り

ゆかの採点(構成要求やアクロラインの決まり)は女子ゆかの採点を解説|Dスコア・構成要求・難度の仕組みでさらに詳しく説明しています。

計算例:採点規則に載っている例

Dスコアの例

採点規則の第6章には、次の計算例が載っています。

  • 難度点:C×3、D×3、E×2 = 0.90+1.20+1.00 = 3.100
  • 構成要求:2.000
  • つなぎ加点:0.600
  • Dスコア:5.700

最終得点の例

Eスコア(実施と芸術性)は10.000点からの減点で、審判の点数の中央の数人を平均します(小数第4位以下は切り捨て)。規則の例ではEスコア8.666となり、最終得点は5.700+8.666=14.366点です。

ゆかでは、8技のうちどの技を曲のどこに置くかで、演技の見え方と芸術性の評価が変わります。難度の高い宙返りを曲の山場に合わせたい、90秒の中で構成要求を無理なく入れたいという場合は、採点規則を踏まえた編集やオリジナル作曲に対応する競技用フロア音源の制作サービスも選択肢になります。

トップ選手の女子体操のDスコア|2025年世界選手権のデータ

種目別の最高Dスコア(2025年世界選手権・予選)

FIGのニュースレター第1号(2026年2月)には、2025年世界選手権(インドネシア・ジャカルタ)の審判報告が載っています。予選で出た種目ごとの最高点は次のとおりです。

種目

最高Dスコア

最高Eスコア

最高得点

跳馬

5.400(カルミコワ)

9.300(杉原愛子)

14.233(メリニコワ)

段違い平行棒

7.10(ネムール)

8.433(ネムール)

15.533(ネムール)

平均台

6.500(張清穎)

8.333(サライバ)

14.366(張清穎)

ゆか

6.100(ロバーソン)

7.900(ペティスコ)

13.666(マネカ=ボイネア)

出典:FIG WAG Newsletter No.1(2026年2月)。

表から読み取れること

  • 段違い平行棒の最高Dスコアは7.10。審判報告は、ネムールが8つの技を直接つなぎ、つなぎ加点を8回得たことを「注目の連続」として挙げている
  • 跳馬の最高Dスコア5.400は、アマナール(5.40)と同じ点数。表の上位の技(6.00〜6.40)は、この大会の予選では出ていない
  • Eスコアの最高は跳馬の9.300(杉原愛子)。難度だけでなく実施の質が得点を決める

2025年世界選手権の種目別メダル

同じ報告によると、2025年世界選手権では杉原愛子がゆかで金メダル、平均台で銅メダルを獲得しました。段違い平行棒はネムール(アルジェリア)、平均台は張清穎(中国)、跳馬と個人総合はメリニコワが優勝しています。

世界体操2026で見たい「日本人の名前が付いた技」

岡村真の技:段違い平行棒の降り技(D難度)

世界体操2026(オランダ・ロッテルダム)の日本女子代表は、杉原愛子・岸里奈・西山実沙・中村遥香・岡村真の5人です(大会の概要)。このうち岡村真は、2025年のアンタルヤW杯で成功した段違い平行棒の降り技「大逆手から後ろ振り1/2ひねり、後方屈身2回宙返り下り」が、D難度(6.408)として採点規則に載りました(岡村真の経歴)。

岡村は今大会の予選初日、平均台で14.266を出し、初日終了時点でこの種目のトップに立ちました(International Gymnast、10月18日/Gymnastics Now)。女子予選は現地10月19日まで続くため、決勝進出が決まるのは全組の終了後です。

中村遥香の技:デルチェフ屈身(D難度)

中村遥香は、2023年の世界ジュニア選手権で段違い平行棒の「前振り1/2ひねりから前方屈身宙返りで高棒を握る」技(デルチェフ屈身)を成功させました。採点規則では、メキシコのモレノと並んで「Moreno/Nakamura」の名前が付き、D難度に当たります(中村遥香の経歴)。

女子の決勝日程

種目

現地時間

日本時間

女子団体決勝

10月21日(水)19:00

10月22日(木)2:00

女子個人総合決勝

10月23日(金)19:30

10月24日(土)2:30

種目別決勝

10月24日(土)・25日(日)

各日の夜

日程は大会の概要とNBC Sportsの放送日程によります。変更の可能性があるため、最新情報は日本体操協会の公式サイトでも確認してください。

まとめ

  • 女子体操の難度はA(0.10)〜J(1.00)の10段階。段違い平行棒・平均台・ゆかは上位8技の価値点がDスコアに入る
  • 要素番号の小数点の次の数字が難度を表す(5.802=H、5.1002=J)
  • 最高難度はゆかのJ難度(バイルス)。平均台は降り技でH、段違い平行棒はGまで、跳馬は6.40点が最高
  • Dスコアは難度点+構成要求(最大2.00)+つなぎ加点+ボーナスの合計。2025年世界選手権の最高Dは段違い平行棒の7.10
  • 世界体操2026の日本女子代表では、岡村真と中村遥香が採点規則に名前の載った技を持つ

難度の高い技と音楽を組み合わせて、ゆかの演技をもっと魅せたいと考えている選手・コーチ・保護者の方は、競技用フロア音源の制作に相談してみてください。採点規則を踏まえた曲の編集から、オリジナル作曲まで対応しています。

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岩﨑大翔
Author

岩﨑大翔 Daito Iwasaki

体操競技歴15年(全日本選手権出場)。音楽活動、AI駆動開発、体操の3つのフィールドで活動中。それぞれの専門知識と経験を活かして発信しています。

Floor Music

競技用フロア音源の制作

全日本選手権出場の元体操選手×現役アーティストが、女子ゆか・新体操の競技用音源を演技に合わせて制作。90秒ルールに沿った編集から、著作権の心配がないオリジナル楽曲の書き下ろしまで対応します。

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