女子跳馬の技一覧|ユルチェンコ・チェンの難度と採点ルール
女子跳馬の技を一覧で解説。FIG女子採点規則2025-2028の跳馬表から、ユルチェンコ・アマナール・チェン・バイルズなど5グループの主な技と難度点を整理し、Dスコアの決まり方、種目別の2本平均と2025年からの0.20点ボーナス、世界体操2026の注目選手まで紹介します。
女子跳馬の技は、FIG(国際体操連盟)の採点規則で5つのグループに分けられ、技ごとに難度の点数が決まっています。ユルチェンコ、ツカハラ、アマナール、チェン、バイルズといった技名は、どれもこの表に載っている跳び方の名前です。この記事では、2025-2028年版の女子採点規則に載っている跳馬の表をもとに、女子跳馬の技一覧と難度、採点の仕組みを整理します。世界体操2026(オランダ・ロッテルダム)の女子跳馬で注目の選手と技もあわせて紹介します。
※本記事の難度点は、FIG 女子体操競技 採点規則 2025-2028(英語・PDF)の跳馬表(Vault Table)にもとづいています。大会情報は2026年10月16日時点のものです。
女子跳馬とは|技の流れと基本ルール

跳馬の技は「4つの局面」で評価される
女子跳馬は、助走から踏み切り、跳馬台に両手を着いて跳び越え、着地するまでの数秒間で勝負が決まる種目です。採点規則では、踏み切ったあとの動きを次の4つの局面に分けて評価します。
- 第一空中局面(pre-flight):踏切板から跳馬台に手を着くまで
- 着手局面(support):両手で台を突き放す瞬間
- 第二空中局面(flight):台を離れてから着地まで。宙返りやひねりはここで行う
- 着地(landing):マットに足から着地し、静止する
技の名前と難度は、主に「第一空中局面でどう台に入るか」と「第二空中局面で何回宙返り・ひねりをするか」の組み合わせで決まります。
女子跳馬の助走と跳馬台の決まり
FIGの女子採点規則には、跳馬の基本ルールとして次のような決まりがあります。
- 助走距離は最大25m(跳馬台の手前の端から助走路マットの端まで)
- 踏切板からは必ず両足で踏み切る(前向き・後ろ向きのどちらからでもよい)
- すべての跳馬は両手で台を突き放さなければならない
- 横向きに着地する跳馬は申告できない
- ロンダートで入る跳馬では、主催者が用意する安全用マット(セーフティカラー)を正しく使う
- 手を着く位置の目印になるマットは、ユルチェンコ系の跳馬(グループ1・4・5)に限って使える
どの跳び方にも番号が振られていて、選手は跳ぶ前に、これから行う跳馬の番号を表示しなければなりません。会場の表示板に出る「4.35」などの数字は、この跳馬表の番号です。
女子4種目の中で跳馬だけが違う点
女子体操は跳馬・段違い平行棒・平均台・ゆかの4種目で行います。そのうち跳馬は、ほかの3種目と違って「演技」ではなく「1本の跳躍」で評価されるのが特徴です。段違い平行棒・平均台・ゆかは複数の技を組み合わせて演技を作りますが、跳馬は1本ごとに決まった1つの技を跳びます。4種目全体のルールは女子体操の種目一覧と4種目のルールを解説した記事で詳しく整理しています。
また、4種目の中で音楽を使うのはゆかだけです。跳馬は数秒の一発勝負ですが、多くの選手は同じ大会でゆかにも出場し、90秒の演技を音楽に合わせて組み立てます。ゆかの選曲や編集は、元体操選手×アーティストの視点で競技用フロア音源の制作として相談できます。
女子跳馬の技一覧|5つのグループの違い

跳馬のグループ1〜5の分類
女子跳馬の技は、台への入り方と宙返りの有無によって5つのグループに分かれます。採点規則の分類を日本語にまとめると、次の表のとおりです。
グループ | 台への入り方(第一空中局面) | 第二空中局面 | 代表的な技 |
|---|---|---|---|
1 | 前転とび・山下・ロンダート(ひねりの有無は問わない) | 宙返りなし | 前転とび、山下とび |
2 | 前転とび(1回ひねりの有無は問わない) | 前方または後方の宙返り(ひねりの有無は問わない) | プロドゥノワ、ルディ |
3 | 前転とびで1/4〜1/2ひねって着手(ツカハラ) | 後方宙返り(ひねりの有無は問わない) | ツカハラ、ザモロチコワ |
4 | ロンダート(ユルチェンコ)、3/4ひねりの有無は問わない | 後方宙返り(ひねりの有無は問わない) | ユルチェンコ、アマナール、バイルズ |
5 | ロンダートから1/2ひねって着手 | 前方または後方の宙返り(ひねりの有無は問わない) | チェン、バイルズ(グループ5) |
グループの違いは、種目別決勝の「2本の跳馬は別グループから選ぶ」というルールに直結します。どの技がどのグループに入るかを知っておくと、決勝で選手が2本目に何を跳ぶかを予想しやすくなります。
前方系と後方系の違い
第二空中局面の宙返りの向きは、大きく「前方系」と「後方系」に分かれます。ユルチェンコ系(グループ4)とツカハラ系(グループ3)は後方宙返り、前転とびから前方宙返りに入る技(グループ2)やチェン(グループ5)は前方宙返りです。
この向きの違いは、2025年からの採点規則で意味が大きくなりました。種目別で前方系と後方系を1本ずつ跳ぶと、0.20点のボーナスが付くようになったためです(詳しくは後述)。
技名の多くは最初に成功させた選手の名前
跳馬の技名の多くは、その跳び方を国際大会で初めて成功させた選手の名前です。採点規則の跳馬表にも、技の説明と一緒に選手名が書かれています。主な例は次のとおりです。
- ユルチェンコ:ロンダートから後転とびで台に着手し、後方抱え込み宙返りで下りる跳び方。ロンダートで入る跳馬の総称としても使われる
- ツカハラ:前転とびで1/4〜1/2ひねって着手し、後方宙返りで下りる跳び方。日本の塚原光男氏の名前に由来する
- アマナール:ユルチェンコで入って後方伸身宙返り2回半ひねり
- チェン:ロンダートから1/2ひねって着手し、前方伸身宙返り1回半ひねり
- プロドゥノワ:前転とびから前方抱え込み2回宙返り
男子の跳馬でもユルチェンコ系とツカハラ系は主要な系統です。男子での難度の違いは跳馬のユルチェンコ系とツカハラ系を比較した記事で解説しています。
表示される番号で技と難度がわかる
選手は跳ぶ前に跳馬の番号を表示します。テレビ中継や会場の表示で「4.34」と出ればユルチェンコ2回ひねり(5.00)、「5.33」ならチェン(5.60)です。番号の最初の数字がグループを表すので、この記事の技一覧と照らし合わせると、跳ぶ前に技と難度点がわかります。
ユルチェンコ系(グループ4)の女子跳馬の技と難度

ユルチェンコとはどんな跳び方か
ユルチェンコ系は、ロンダートで踏切板に後ろ向きに入り、後転とびで台に手を着いてから後方宙返りに入る跳び方です。助走の勢いを回転に変えやすく、ひねりを加えやすいため、現在の女子跳馬で最もよく使われる系統になっています。採点規則では、ユルチェンコ系の跳馬だけに、手を着く位置の目印となるマットの使用が認められています。
ユルチェンコ系の難度一覧
FIG女子採点規則2025-2028の跳馬表から、ユルチェンコ系(グループ4)の主な技と難度点を抜き出すと次のようになります。
番号 | 技(第二空中局面) | 技名 | 難度点 |
|---|---|---|---|
4.10 | 後方抱え込み宙返り | ユルチェンコ | 3.00 |
4.20 | 後方屈身宙返り | - | 3.20 |
4.30 | 後方伸身宙返り | - | 3.60 |
4.32 | 後方伸身宙返り1回ひねり | - | 4.20 |
4.33 | 後方伸身宙返り1回半ひねり | - | 4.60 |
4.34 | 後方伸身宙返り2回ひねり | バイトワ | 5.00 |
4.35 | 後方伸身宙返り2回半ひねり | アマナール | 5.40 |
4.63 | 後方屈身2回宙返り | バイルズ | 6.40 |
ひねりが半回転増えるごとに0.40点ずつ上がるのが基本の刻みです。後方伸身宙返り(3.60)から2回半ひねり(5.40)まで、半ひねりごとに難度が積み上がっていきます。
「ユルチェンコ2回ひねり」と「アマナール」は別の技
海外の大会報道で最もよく出てくるのが「Yurchenko double twist(ユルチェンコ2回ひねり)」です。トップ選手の多くがこの技を基本の1本にしていて、跳馬表では「バイトワ」の名前で5.00点です。
一方、アマナールは2回半ひねりで5.40点。英語のまとめ記事では「アマナール=ユルチェンコ2回ひねり」と書かれていることがありますが、跳馬表の上では半ひねり分の差があり、難度点も0.40点違います。報道で「DTY」と略されるのは2回ひねり(5.00)のほうです。
女子跳馬で最も難しい「バイルズ」(6.40)
ユルチェンコで入り、後方屈身2回宙返りで下りる跳馬が「バイルズ」です。難度点は6.40で、女子の跳馬表で最も高い値です。Gymnastics Nowの記事によると、シモーネ・バイルズ選手(米国)は2021年の全米クラシックでこの技を初めて実施し、2023年の世界選手権(ベルギー・アントワープ)で成功させたことで、正式に名前が付きました。バイルズ選手の名前が付いた跳馬は2つあるため、英語圏では「Biles II」とも呼ばれます。
2024年パリ五輪の女子跳馬決勝では、バイルズ選手がこの技で15.700点を出し、2本の平均15.300点で金メダルを獲得しました。2位はレベッカ・アンドラーデ選手(ブラジル)の14.966点、3位はジェイド・ケアリー選手(米国)の14.466点でした(USA Gymnasticsの結果記事)。
前転とび・ツカハラ・チェン系(グループ2・3・5)の跳馬の技一覧
前転とび系(グループ2):プロドゥノワは6.00
グループ2は、前転とびで正面から台に手を着き、前方宙返り(半ひねりして後方宙返りになるものを含む)で下りる跳び方です。主な技と難度点は次のとおりです。
番号 | 技 | 技名 | 難度点 |
|---|---|---|---|
2.10 | 前転とび前方抱え込み宙返り | - | 3.60 |
2.30 | 前転とび前方伸身宙返り | エフドキモワ | 4.40 |
2.32 | 前転とび前方伸身宙返り1回ひねり | - | 5.00 |
2.33 | 前転とび前方伸身宙返り1回半ひねり | チュソビチナ(通称ルディ) | 5.40 |
2.34 | 前転とび前方伸身宙返り2回ひねり | ヨ・ソジョン | 5.80 |
2.50 | 前転とび前方抱え込み2回宙返り | プロドゥノワ | 6.00 |
前転とびから前方抱え込み2回宙返りで下りる「プロドゥノワ」は6.00点で、バイルズ(6.40)に次ぐ高い値です。規則には、2回目の宙返りを回りきれずに足と体の一部が同時にマットに着いた場合は、前転とび前方抱え込み宙返り(3.60)として認定するという注記があります。
ツカハラ系(グループ3)
グループ3は、前転とびの途中で1/4〜1/2ひねって台に手を着き、後方宙返りで下りる跳び方です。日本の塚原光男氏の名前が付いた系統で、女子の跳馬表では次のような値になっています。
番号 | 技 | 技名 | 難度点 |
|---|---|---|---|
3.10 | ツカハラ抱え込み | ツリシチェワ | 3.20 |
3.20 | ツカハラ屈身 | - | 3.40 |
3.30 | ツカハラ伸身 | - | 3.80 |
3.33 | ツカハラ伸身1回半ひねり | - | 4.80 |
3.34 | ツカハラ伸身2回ひねり | ザモロチコワ | 5.20 |
3.35 | ツカハラ伸身2回半ひねり | - | 5.60 |
同じ「伸身2回ひねり」でも、ユルチェンコ系(バイトワ)は5.00点、ツカハラ系(ザモロチコワ)は5.20点と、入り方によって値が違います。
ロンダート1/2ひねり系(グループ5):チェンは5.60
グループ5は、ロンダートのあと1/2ひねって台に正面から手を着き、前方宙返りなどで下りる跳び方です。代表的な技が「チェン」で、ここ数年の女子跳馬の上位争いには欠かせない技になっています。
番号 | 技 | 技名 | 難度点 |
|---|---|---|---|
5.10 | 前方抱え込み宙返り | イワンチェワ | 3.80 |
5.20 | 前方屈身宙返り | オメリアンチク | 4.00 |
5.30 | 前方伸身宙返り | - | 4.60 |
5.31 | 前方伸身宙返り1/2ひねり | - | 4.80 |
5.33 | 前方伸身宙返り1回半ひねり | チェン | 5.60 |
5.34 | 前方伸身宙返り2回ひねり | バイルズ | 6.00 |
チェンは前方宙返りの技なので、後方宙返りのユルチェンコ2回ひねり(5.00)と組み合わせると、後述のボーナス0.20点の条件を満たします。
宙返りのない跳馬(グループ1)
グループ1は、前転とび・山下とび・ロンダートで台を突き放し、宙返りをせずに着地する跳び方です。前転とびが1.60点、山下とびが2.00点などと値は低めで、主に基礎の段階で使われます。ひねりを加えると値が上がり、前転とびから2回半ひねりで下りる技は4.00点です。
女子跳馬の採点|DスコアとEスコアの仕組み
跳馬のDスコアは「跳んだ技の難度点」そのもの
体操の得点は、技の難しさを表すDスコアと、出来ばえを表すEスコアの合計から、ライン減点などを引いて決まります。女子採点規則では、跳馬のDスコアは「跳馬表に載っている、その跳馬の難度点」と定められています。
一方、段違い平行棒・平均台・ゆかのDスコアは、難度の高い上位8つの技、構成要求、つなぎの加点、ボーナスを合計して出します。跳馬だけは、どの技を跳んだかでDスコアが決まる、という点が他の3種目との大きな違いです。ゆかのDスコアの考え方は女子ゆかの採点(Dスコア・構成要求・難度)を解説した記事で詳しく整理しています。
Eスコアで見られるポイント
Eスコアは10.00点から減点していく方式です。採点規則の跳馬固有の減点表では、局面ごとに次のような点が見られます。
- 第一空中局面:規定のひねりが足りない、腰の曲がりや反り、膝の曲がり、脚の開き
- 着手局面:グループ1・2・5での手の着き方のずれ、腕の曲がり、倒立を通過しない、台の上でひねり始めるのが早すぎる
- 第二空中局面:高さ、抱え込み・屈身・伸身の姿勢の正確さ、膝の曲がり、脚の開き、回転不足、距離(台からの飛距離)、まっすぐ跳べていない、勢い
- 着地:一般の着地減点(一歩動く、手を着くなど)
また、着地マットには進行方向に沿った帯(コリドー)が描かれていて、その外に足や手が出るとライン減点になります。難しい技を跳んでも、高さや姿勢、着地の乱れで大きく引かれるため、上位選手は難度と出来ばえのバランスで跳ぶ技を選びます。
0点になってしまう跳馬
採点規則には、跳馬が無効(0.00点)になる条件も定められています。
- 台に両手とも触れていない
- ロンダートで入る跳馬で、安全用マット(セーフティカラー)を正しく使っていない
- 補助者の手助けを受けた
- 足から着地しなかった
- 実施があまりに乱れて、どの跳馬か認定できない/足で台を蹴った
- 禁止されている跳び方(開脚、踏切板の手前での禁止された前技、意図的な横向き着地)をした
- 種目別の予選・決勝で、1本目と同じ跳馬を2本目に跳んだ
無効と判定された跳馬や片手だけの着手は、Dパネルと競技長がビデオで自動的に確認します。
跳馬とゆかの違い|数秒の一発勝負と90秒の演技
跳馬は1本が数秒で、音楽も使いません。一方のゆかは最大90秒の演技を、音楽に合わせて組み立てます。同じ「着地を止める」「高さを出す」という力が求められる2種目ですが、ゆかでは曲の盛り上がりに技や決めポーズを合わせる構成力も評価に影響します。
ゆかの音楽は、市販曲のカット編集からオリジナル作曲まで方法がいくつかあります。採点規則を踏まえた編集や90秒の構成づくりは、競技用フロア音源の制作サービスで相談できます。
種目別の女子跳馬は2本の平均|2025年からのボーナス
予選・団体・個人総合は1本、種目別は2本
女子跳馬で何本跳ぶかは、競技の段階によって違います。採点規則のルールは次のとおりです。
- 予選・団体決勝・個人総合決勝:1本。予選では1本目の得点が団体・個人総合の合計に入る
- 種目別決勝に進みたい選手(予選)と種目別決勝:2本跳び、その平均が最終得点になる
種目別の2本は、違うグループの跳馬でなければなりません。同じグループから2本跳んだ場合は、2本目の得点から2.00点を引いてから平均します。1本目と同じ跳馬を2本目に跳ぶと、2本目は0点です。
前方系と後方系を跳ぶと+0.20点
2025-2028年版の採点規則では、第二空中局面の宙返りの向きが違う2本(前方系と後方系)を跳ぶと、2本の平均に0.20点のボーナスが加わるようになりました。ボーナスを得るには、2本とも転倒せずに跳ぶ必要があります。また、「クエルボ」型の跳馬(前転とびで入り、台を離れてから半ひねりして後方宙返りで下りる形)は前方系として扱われます。
この変更は、Gymnastics Coachingの採点規則の変更点の解説でも、違う系統の跳馬を跳ぶよう促すための変更として紹介されています。規則の運用の詳細は、FIGが2026年8月に出した女子のHelp Desk(規則の解釈集・英語PDF)にもまとめられています。
2本の組み合わせの例
跳馬表の値で、よく使われる組み合わせの合計を見ると次のようになります(Dスコアの単純平均にボーナスを足した値。実際の得点はEスコアとライン減点で変わります)。
1本目 | 2本目 | グループ | 向き | Dの平均+ボーナス |
|---|---|---|---|---|
チェン(5.60) | ユルチェンコ2回ひねり(5.00) | 5と4 | 前方+後方 | 5.30+0.20 |
ユルチェンコ2回ひねり(5.00) | 前方伸身宙返り1/2ひねり(4.80) | 4と5 | 後方+前方 | 4.90+0.20 |
ルディ(5.40) | ツカハラ伸身1回半ひねり(4.80) | 2と3 | 前方+後方 | 5.10+0.20 |
アマナール(5.40) | ツカハラ伸身2回ひねり(5.20) | 4と3 | 後方+後方 | 5.30(ボーナスなし) |
最後の例のように、別グループでも向きが同じ(どちらも後方宙返り)だとボーナスは付きません。2025年以降、種目別の上位選手が後方系のユルチェンコに前方系のチェンなどを組み合わせるのは、このボーナスを取るためでもあります。
世界体操2026の女子跳馬|注目選手と技の難度
女子跳馬の日程(日本時間)
International Gymnastの競技日程によると、世界体操2026の女子の主な日程は次のとおりです(日本時間は現地時間+7時間で換算)。
競技 | 現地時間 | 日本時間 |
|---|---|---|
女子予選(日本は第2班) | 10月18日 17:50〜19:10 | 10月19日 0:50〜2:10 |
女子団体決勝 | 10月21日 19:30〜22:00 | 10月22日 2:30〜5:00 |
女子個人総合決勝 | 10月22日 19:30〜22:00 | 10月23日 2:30〜5:00 |
種目別決勝1日目(女子跳馬・段違い平行棒ほか) | 10月24日 14:00〜18:00 | 10月24日 21:00〜翌1:00 |
女子跳馬の種目別決勝は10月24日です。予選で跳馬に2本跳んだ選手の平均点の上位が決勝に進みます。大会全体の日程と見どころは世界体操2026ロッテルダムの日程と見どころにまとめています。
公式練習で見えた跳馬の技
10月15日に行われた女子の公式練習(ポディウム練習)1日目について、International Gymnastのレポートは、各選手の跳馬を次のように伝えています。跳馬表の値とグループを並べると、次のとおりです。
選手(国) | 公式練習で跳んだ跳馬 | 難度点・グループ | ボーナス条件 |
|---|---|---|---|
クレア・ピース(米国) | チェン/ユルチェンコ2回ひねり | 5.60(G5)/5.00(G4) | 前方+後方で満たす |
カリナ・シェーンマイアー(ドイツ) | ユルチェンコ2回ひねり/ロンダート1/2ひねり前方伸身宙返り1/2ひねり | 5.00(G4)/4.80(G5) | 後方+前方で満たす |
リサ・ヴァーレン(ベルギー) | ルディ/ツカハラ伸身1回半ひねり | 5.40(G2)/4.80(G3) | 前方+後方で満たす |
杉原愛子(日本) | ユルチェンコ2回ひねり | 5.00(G4) | -(1本の報道) |
サブリナ・ヴォイネア(ルーマニア) | ユルチェンコ2回ひねり | 5.00(G4) | -(1本の報道) |
レポートでは、ピース選手がチェンとユルチェンコ2回ひねりの両方を成功させたこと、ヴォイネア選手のユルチェンコ2回ひねりは空中でやや乱れたことが書かれています。本番でどの跳馬を申告するかは、予選当日の番号表示で確定します。
女子跳馬の優勝候補
大会前のInternational Gymnastの女子プレビューは、女子跳馬の有力選手として次の名前を挙げています。
- レベッカ・アンドラーデ(ブラジル):世界選手権と五輪の跳馬を制した実績を持つ。2本とも実施の美しさと高さで抜けている、と評価
- アンゲリーナ・メルニコワ:前回の世界選手権の跳馬王者
- クレア・ピース(米国):米国の世界選手権代表選考会でチェンを初めて実施
- ヨ・ソジョン(韓国):世界選手権と五輪の跳馬銅メダリストで、メダル争いの有力候補
- カリナ・シェーンマイアー(ドイツ)、エリー・ブラック(カナダ):決勝進出を狙える選手
日本女子:杉原愛子のユルチェンコ2回ひねり
同じ公式練習のレポートで、日本の杉原愛子選手のユルチェンコ2回ひねりは「世界でも屈指の出来」と評価されました。日本チームは全種目で安定した練習を見せたとも伝えられています。杉原選手はゆかの前回世界女王で、跳馬でも5.00点の技を高い完成度で跳べることは、団体戦で日本の得点を支える要素になります。日本女子のメンバーと団体のメダル争いは世界体操2026女子団体の日本代表とメダル争いの記事で解説しています。
まとめ
女子跳馬の技一覧と難度、採点の仕組みを、FIG女子採点規則2025-2028の跳馬表をもとに整理しました。
- 女子跳馬の技は、台への入り方と宙返りの有無で5つのグループに分かれる
- 跳馬のDスコアは跳馬表の難度点そのもの。ユルチェンコ2回ひねり5.00、アマナール5.40、チェン5.60、プロドゥノワ6.00、バイルズ6.40
- 予選・団体・個人総合は1本、種目別は別グループの2本の平均
- 2025年から、前方系と後方系の2本を転倒なしで跳ぶと+0.20点
- 世界体操2026の女子跳馬の種目別決勝は10月24日(日本時間21:00〜)
跳馬と並んで多くの選手が出場するゆかは、音楽と一体で評価される種目です。選曲・編集・90秒構成について相談したい方は、元体操選手×アーティストの視点でサポートする競技用フロア音源の制作をご覧ください。